体外受精での採卵に向けて、どういった方法で卵胞を育てていくかは病院や医師によっても違いますし、同じ病院でも患者それぞれによって変わってきます。
私は今までロング法で良い結果が出ていなかったこともあり、転院先ではアンタゴニスト法を提案されています。
ショート法、ロング法、アンタゴニスト法そして自然周期や低刺激法の、内容の違いやメリット&デメリットをまとめて表にしてみました。
目次
体外受精の卵巣刺激法はどう決める?
採卵に向けて、どのように卵胞を育てていくかという卵巣刺激法は、主に年齢とAMH値などを参考に決定します。
AMHについてはこちらをお読みください。
⇒「AMH検査でわかる卵巣年齢の年齢別基準値(平均値)まとめ」
病院によって、「基本的には〇〇法で一度やってみる」という病院もあるようです。私の通っていた病院はAMH検査をしないということもあり、年齢が低めの場合はロング法を試してみると言っていました。
AMHの値だけで決めるとするならば、
・AMHが高め → ロング法、アンタゴニスト法
・AMHがやや低め → ショート法
・AMHがさらに低め → 低刺激法、自然周期
を勧められる傾向にありますが、その方の年齢や状況によって変わります。
それぞれの卵巣刺激法の内容と違い
ロング法
ロング法は、採卵の1周期前の高温層から点鼻薬(ブセレキュア等)を開始し、採卵日まで継続します。
点鼻薬は、開始から4~5日は卵胞を育てる効果がありますが、それ以降になると自然排卵を抑えるという効果があり、ロング法やショート法で使われます。
採卵周期が始まったら、月経2~3日目からHMG注射によって卵胞を育てていきます。超音波検査により卵胞の発育状況を見ながら、約10日程度注射を続けます。
卵胞の発育状態で採卵日が決定したら、点鼻薬と排卵誘発の注射を中止し、医師から指示される時間にHCGの注射をして、卵を最終的に成熟させます。
HCGの注射をした34~36時間後、すなわち翌々日に採卵となります。
メリット
・自然に排卵してしまう可能性がほとんどない。
・採卵日のコントロールがしやすいので、仕事の都合などに合わせやすい。
・下垂体ホルモンを完全に抑制してから排卵誘発剤を開始するため、卵胞の発育が均一になる。
・採卵数が多く採れる傾向にある。
デメリット
・排卵させるためにHCGを必ず使用するため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性がある
・注射期間が長くなったり、注射量が多くなる傾向がある。
ショート法
ショート法も、ロング法と共に昔からある方法です。卵胞数を増やすために注射と同時に点鼻薬を使用する 、強めの刺激方法になります。
採卵周期の生理2~3日目からロング法と同じく点鼻薬(ブセレキュア等)を開始し、採卵日まで継続します。
同時に、HMG注射によって卵胞を育てていきます。超音波検査により卵胞の発育状況を見ながら、約10日程度注射を続けます。
卵胞の発育状態で採卵日が決定したら、点鼻薬と排卵誘発の注射を中止し、医師から指示される時間にHCGの注射をして、卵を最終的に成熟させます。
HCGの注射をした34~36時間後、すなわち翌々日に採卵となります。
メリット
・1周期で全ての過程が終了するため、治療に対する負担(期間)が短い。
・採卵個数が多い傾向にある。
・自然に排卵してしまう可能性がほとんどない。
デメリット
・排卵させるためにHCGを必ず使用するため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性がある
アンタゴニスト法
採卵周期の生理2~3日目からHMG注射によって卵胞を育てていきます。
自然排卵を抑制するために、卵胞がある程度(14~16mm程度)の大きさになってきたら、または採血をした結果、排卵が近いと判断された場合に、排卵抑制剤であるアンタゴニストの注射を開始します。
超音波検査により卵胞の発育状況を見ながら、約8日程度注射を続けます。
HMG注射は肩やお尻に打つ「筋肉注射」ですが、アンタゴニスト注射はお腹やお尻に打つ「皮下注射」です。通常の注射の痛みがありますが、筋肉注射よりは痛みが少ないです。
メリット
・下垂体ホルモンの抑制をしないので、卵胞が発育しやすい。
・排卵刺激にHCGを使用しなくてもよいため、OHSSを防ぐことができる。
・うっかり忘れてしまう人が多い点鼻薬を長期間使う必要がない。
デメリット
・アンタゴニストが高額なため、卵胞発育が遅い場合は費用が高くなる。
・わずかではあるが、自然に排卵してしまう可能性がある。
自然周期/低刺激法
自然周期は、排卵誘発剤の薬を使用せずに、自然に様子を見ていく方法で、低刺激法は内服薬を中心に注射を補助的(2日に1回ずつ等)に使用する、刺激を弱めた方法です。
他の刺激法で、良い結果が得られなかった場合にも行います。
メリット
・通院回数が少なくて済む。
・排卵誘発剤を使用しないため、体への負担が少ない。
・連続周期採卵が可能。
・刺激が少ないので、OHSSになることはほとんどない。
デメリット
・採卵できる卵が通常1個、多くても2~3個。
・月経周期が不順な場合は難しい。
・空卵胞のときがある。
・自然排卵してしまい、採卵中止になることがある。
・採卵数が少ないので、受精や分割がうまくいかず、胚移植や凍結ができないときがある。
卵巣刺激法を比較した表
自然/低刺激法 | ショート法 | ロング法 | アンタゴニスト法 | |
採卵数 | 0~3 | 多め | 多め | 多め |
自然排卵の可能性 | あり | なし | なし | まれにあり |
OHSSの可能性 | なし | 高い | 高い | 低い |
注射投与量 | なし/少ない | 普通 | やや多い | 普通 |
余剰胚凍結の可能性 | 低い | 高い | 高い | 高い |
採卵あたりの妊娠率 | 低い | 高い | 高い | 高い |
※採卵数やOHSSが起きるかどうか、胚凍結できる個数などは個人差があります。
卵巣刺激法について まとめ
どの卵巣刺激法、誘発方法で卵胞を育てるかは、担当医の指示に従うことになります。
私は、「ロング法だと数がたくさん取れるので凍結の可能性も高まる」と言われてましたが、受精に使える正常卵は過去3回とも5個程度で、ロング法のメリットが結果に表れませんでした。
今の担当医は「2回やって結果が良くなければ、刺激法は変えるべきです。」とおっしゃいます。
年齢やAMH値が同じでも、結果はその人によって変わってくるそうなので、1つの方法にこだわらずに挑戦してみたいですね。
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