不妊治療で行う体外受精及び顕微授精において、受精卵の胚移植というのはとても重要な過程です。
大切な受精卵を子宮内に戻した胚移植後の生活については、気になることや些細なことが心配になる人も少なくないと思います。
遠距離通院での揺れや振動は着床に影響がないのか、自転車は乗らない方が良いのかなど、移植後の生活で気になることについてお伝えします。
目次
胚移植後の過ごし方で気になること
胚移植した後、どのくらい安静にしている必要がある?
胚移植後の過ごし方について、アメリカやイタリアで行われた研究によると、胚移植後は安静にしていても普段通り生活していても、妊娠率は変わらないという結果が報告されています。
子宮内にきちんと移植出来ていればすぐに起きて歩いたとしても落ちる事はありません。子宮の内部は閉じておりとても狭い空間です。
また出口の頚管も常に閉じています。胚が簡単に落ちて出てしまう事はあり得ません。
※ 両角レディースクリニック院長の両角先生のブログより
イメージ的に、「立ち上がったり歩き回ると流れ出てしまうのではないか?」と思ってしまうのですが、そのようなことはないのですね。多くの病院で指示される15分~20分程度横になったあとは帰宅して問題ないそうです。
自転車や車の振動、長時間の移動は?
胚移植後に自転車を使用することについては、病院によって見解が違います。
移植した受精卵は、胚移植後およそ2~4日ほど経つと子宮に着床します。その子宮は筋肉で出来ており、外的刺激により収縮を起こすことがあります。
自転車に乗った時の振動が子宮に伝わり、それが原因で子宮が収縮する可能性があることから、可能な範囲で自転車の運転は避けるように話す医師もいます。
毎日の通勤や、通院のためにどうしても自転車が必要な方もいると思います。そもそも、自然妊娠する方は、着床の時期などは全く気付かずに自転車を運転していますので、自転車を運転したからといって必ず着床しないわけではありません。
心配であれば主治医の意見を仰ぎつつ、自転車に乗らないことで過度なストレスを感じるようなことがないように、使用するかどうかを決めるとよさそうですね。
車や飛行機等で長距離移動することは、着床に影響はないそうです。ホテルなどで安静にしていても妊娠しなかった人もいれば、飛行機などを乗り継いだりして帰宅していても妊娠することはもちろんあります。
また、雪道や工事中などで道が悪いために起きる振動や、飛行機の高度への心配は不要です。移動中にずっと横になっている必要もありません。
胚移植後の性交渉は妊娠率に問題あり?なし?
アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校の医科大学院の研究グループが、関連病院で体外受精を受けている体外受精を受けている女性125名に、胚移植後の性交の記録をつけてもらい、その後の妊娠や流産、出産に及ぼす影響を調べました。
その結果、胚移植後、特にインプランテーションウィンドウと呼ばれる「着床可能期間(個人差はありますが、受精後5日〜10日の間とのこと)」この時期に性交すると、流産のリスクが高くなる傾向がみられました。
今回の研究規模が小さいことから更なる大規模な試験が望まれるが、明確な根拠等が確定するまでは、胚移植後の性交は控えたほうが無難ではないかとしています。
他にも、性交による子宮の収縮は着床や妊娠のスタートにマイナスに働くのではないかと考え、胚移植後は性交を控えるように指導される医師もいます。
そもそも、自然妊娠であれば、排卵後から月経開始までの間に無自覚に性交している夫婦も多数います。胚移植後の性交については研究結果が少ないので、あくまで「影響があるかもしれないから、避けるのが無難だろう」と考えられているそうです。
気をつけた方が良いこと
自然妊娠の場合、生理予定日が過ぎるまで妊娠に気付かない場合がほとんどで、女性の生活スタイルに関係なく胚は成長します。胚移植をした後も、自然妊娠で妊娠した女性と同様に胚は成長していくので、妊娠を意識せずに過ごしていて問題はありません。
しかし、今までなかなか妊娠できなかった経験を考えると、些細なことでも気を付けたいところですよね。
- 重い荷物(スーツケースなど)を運ぶことを控える
- 移植当日は激しい運動をしない
- 喫煙を控える
- 性交渉を控える(移植後3日程度)
- アルコールを控えめにする
- レントゲン撮影(胃の透視、CT検査)は禁止
- 過度のストレスや過度の労働(徹夜)を控える
このようなことに気をつけるとよさそうです。
精神的な要素も少なからず影響しますので、あまり意識しすぎないようにして、妊娠判定日まで気分転換をしながら過ごす事が大切ですね。
胚移植後の過ごし方 まとめ
初めての胚移植後、医師から「いつも通りでいいですよ。」と言われても、心配性で神経質な私は「いつも通りってなんだろう?」と常に心配になり、ずっとお腹のことを考えてしまっていました。
安静にしていても、いつも通り立ち仕事や家事をしていても、妊娠するかどうかは「神のみぞ知る」で、絶対に妊娠する過ごし方なんてのは無いのはわかっているんですけどね。
今回心配していた「当日に凸凹道を長時間車に揺られて帰る」ということも、特に問題ないことがわかりましたし、常にお腹のことを考えて、不安になってしまうのは身体に良い影響が無いと思うので、お腹にある命と医師の言葉を信じて過ごしたいなと思います。
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